認知症と不動産売却

空家

こんにちは。

静岡市葵区の不動産屋、新富不動産スタジオです。

今日は「認知症と不動産売却」です。

不動産売却っていつでもできると思って後回しにされているケースをよく見かけます。

今回は最近の実例を交えて早めに売却をするべき理由を紹介します。


不動産の売却はいつでも自由にできるの?

いつでも売れるだろと思っている方も多いのでは?

実は売主様の状態によっては売れないこともあるのです。

不動産売却についての判断能力がないとされるケースでは契約行為自体ができないのです。

意思能力(自分の行為の結果を弁識し、判断できる能力)がないケースでは、民法第3条2により「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」とされています。

具体的なケースとしては

  1. 認知症
  2. 知的障害
  3. 精神障害
  4. 未成年者

などがあげられますが、よく問題になるのが「認知症」です。

認知症=意思能力がない

という考えが全て正しいわけではなく初期の段階では意思能力があるケースもあるそうですが、症状が進行してしまうと意思能力がなく不動産売却という契約行為が無効とされてしまいます。


最近の不動産売却実例

つい最近、静岡市駿河区の土地の売却のお手伝いをしました。

売主様は90歳と高齢、ご相談は娘様ご夫婦からでした。

事前に認知症の症状が出ているということを聞いていたので、本人確認と不動産売却についての意思確認をしに訪問しました。

面談当日、司法書士にも同行してもらい、高齢の売主様の言動などから意思能力を確認していただき、今回は意思能力有との判断が下ったので売主様ご一家のご希望通り土地の売却を進めることができました。

しかし司法書士いわく

「あと少し遅かったら手遅れだったと思う」

との見解でした。

実はこの売主様は他にも処分したい土地が複数あり、かろうじて該当の土地だけがすぐに買手が見つかったので売却が成立したという経緯がありました。

ご相談をいただいた売主様の娘様ご夫婦も、もっと早くに動いていればよかったと後悔されていたのが印象的でした・・・


超高齢化社会での認知症と不動産売却

今回のケースのように、認知症が原因で不動産の売却ができなくなるケースが、これからの超高齢化社会では社会問題となってくる可能性もあります。

認知症でも成年後見制度を使って財産処分を成年後見人が行うことは可能です。

しかし成年後見制度も誰しもが利用できるわけではなく、財産を多く持っているような方は成年後見制度を利用できない場合もあります。

そうなってしまうと、不動産の所有者が無くなり不動産が相続されるまではその不動産は一切売却等の処分ができなくなってしまうのです。

それが例えば更地の土地であれば、草が伸び放題の荒れ地と化してしまうこともあります。

空家で古い建物が建っていれば、火災リスクや自然災害による危険が生まれてしまいます。

空家問題を助長してしまうことにもなってしまいます。

社会全体にとっても認知症により不動産を処分できないということはメリットはなくデメリットしかありません。

今回のケースではかろうじて1つだけは売却が成功しました。

しかしもう少し早く動いていれば、全ての土地を売却できた可能性も高いです。

誰も望まない認知症で不動産の売却ができなくなる前に、相続対策も考えながら早め早めの不動産売却を意識しておくことが大切だと感じるお取引でした。