相続した土地(古い建物あり)を売却する場合の経費と注意点は?
おはようございます。
静岡市葵区の不動産屋、新富不動産スタジオです。
不動産の仕事をしているとよくいただく相談が
ご両親や親せきが所有していた不動産を相続で引き継いだけど自分には別に家があるから売りたい
というもの。
家や土地を売るという行為が初めてという方の方が多いかと思います。
人生で1回や2回程度した経験することのない「不動産売却」。
わからないことも多いですよね。
今日は不動産を売却する際に必要な諸経費について。
これから不動産を売る可能性のある方はぜひご覧ください。
例えば相続した不動産が下記のようなものだったとします。
※相続でなくても同様です。
- 物件種別/土地(古い家付)
- 場所/静岡市葵区某所
- 土地面積/100㎡(約30.25坪)
- 建物延床面積/90㎡(約27.22坪)
- 建物築年数/築40年
- 建物構造規模/木造2階建
- 道路/市道に1方向接道
- 境界/4隅に境界標がなく不明瞭
- 売却価格/1,210万円(坪単価40万円)
- 借入(抵当権・根抵当権等)無し
上記に近い条件の不動産は、静岡市で相続による売却相談でよくご相談をいただくケースです。
ここでかかる諸経費としては下記となります。
- 仲介手数料
- 売買契約書印紙代
- 測量費用(官民測量)
- 建物解体費
- (場合によって)譲渡所得税
色々と費用がかかるんですね・・・
さて、細かく見ていきましょう。
1.仲介手数料
不動産売買の場合の仲介手数料は「宅地建物取引業法」という法律で上限の報酬額が決められています。
仲介手数料上限報酬額:売買価格×3%+6万円(税別)
つまり上記の例の1,210万円の土地の売却であれば
1,210万円×3%=363,000円
363,000円+60,000円=423,000円
423,000円+消費税42,300円
=465,300円(税込仲介手数料額)
上記の金額が上限額となります。
あくまで上限額であるので、不動産屋との取り決めによって割引される場合もあります。
ただし、不動産屋の報酬というのは仲介手数料しかないので、よほど取引中にトラブルが起きて売主様にご迷惑をかけたなどの事情がない限り仲介手数料が割引されることはないと思われます・・・。
また売買価格が400万円以下の低廉な空家の売却である場合は、不動産調査費用含めて一律18万円を受領できると同じく宅地建物取引業法で定められています。
売買価格ごとの仲介手数料をお知りになりたい方は下記記事よりご覧ください。
よくある質問(設問の最上部の仲介手数料早見表をご覧ください)
2.売買契約書印紙代
不動産売買契約書には法定の金額の収入印紙を貼付しなければなりません。
1,210万円の売買金額であれば、2022年の今なら1万円の収入印紙となります。
これは租税特別措置法という法律により令和6年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書については、軽減税率(税額)が適用されていて本則税率(税額)より安くなっています。
この場合、1千万円を超えて5千万円以下のものの本則税額は2万円、軽減税率(税額)適用で1万円となります。
なお、売買契約書は通常売主・買主とも原本保有で2通作成となります。
しかし、売主側は売買後の確定申告で契約書の写しがあれば申告可能なため、原本を1通作成、売主は写しを保有するという方法も多く見受けられます。
その場合は1万円を折半して5,000円のご負担となります。
※売買金額ごとに貼付する収入印紙の額が変わるのでご注意ください。
詳細は下記の国税庁のページよりご確認ください。
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁HPにリンクします)
3.測量費用
この土地のケースだと、前面道路は市道で一面しか道路に面していません。
そして4隅に境界の印がなく境界が不明瞭。
不動産売買契約の一般的な条項の中には、売主の義務として「境界の明示」という項目が存在します。
つまり売主は買主が後で境界トラブルに巻き込まれないように、境界をはっきりさせてから買主に引渡しなさいと契約書で定められているのです。
※売主及び買主の合意により、境界明示をせずに売買することも可能ですが、あくまで合意ができた場合に限ります。
今回のケースは境界不明瞭なので、土地家屋調査士に依頼して測量をしてもらうこととなります。
立ち会いが必要なのは4隅に接している隣地の方々。
関係者から筆界確認書という書類に「境界はここで問題ないですね」とお墨付きのハンコをもらい、今回の場合は静岡市にも境界確定のお墨付きをもらうことで境界が確定します。
このような場合の行政も交えた測量のことを「官民測量」といい、逆にすべて隣接地が民地であった場合の測量を「民民測量」と呼びます。
測量は土地の形状や接道の数、ハンコをもらう方々の数等の諸条件で金額も変わりますが、今回の事例の場合の土地であれば一般的価格としては60万円~70万円くらいとなるかと思います。
4.建物解体費
建物解体は、住宅部分の解体、基礎の解体、土間コン解体、周囲のブロック等構築物解体、残土処分、樹木の伐採伐根等様々な項目で構成されます。
今回の例のような規模の建物でお庭がないと仮定すれば110万円~130万円前後が一般的な価格となろうかと思います。
ただし、構造が鉄筋コンクリートだった場合は解体費が木造より高額となります。
また土が多く処分が必要になったりすると残土処分はかなり高額となります。
その他ブロック塀に囲まれていたり、樹木がうっそうと茂っている場合なども追加費用が発生します。
また解体の際に地中埋設物(コンクリートガラやレンガ、ゴミ、昔の建物の杭等)が出土してしまった場合はさらに追加処分費が必要となります。
解体は知り合いがいるから自分でお願いされるケースもありますが、不動産売買のシーンでの解体の場合は原則としては不動産屋から紹介された解体屋を使うことをお勧めします。
解体屋によっては雑な解体をしてしまい、売買に適さない状態で工事完了となり、後から買主からクレームを受けるケースが多いです。
また近隣トラブルに発生してしまうケースも時々聞くことも。
不動産屋の紹介する解体屋は、不動産屋の言うことはしっかり聞いてしっかりと安全に工事をしてくれるため、売買のための完璧な解体工事をしてくれる。
これが土地売買の場合の解体の成功のポイントです。
昔書いた解体に関するブログ記事、ご興味ありましたらご覧ください。
解体業者選びは慎重に|静岡市葵区の新富不動産スタジオ(過去記事にリンクします)
5.譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産を売却したことによって利益が出た場合に課税される所得税。
売却した不動産の所有時期が下記の2パターンで税率も変わります。
・不動産の所有期間が5年以内
短期譲渡所得となり、税率39.63%
・不動産の所有期間が5年を超す場合
長期譲渡所得となり、税率20.315%
※令和19年までは復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税とあわせて申告・納付することとなります。
詳しい計算方法は下記となります。
①収入金額(売却金額)-(取得費※1 + 譲渡費用※2)-特別控除額=課税譲渡所得金額
②課税譲渡所得金額×税率
※1 取得費とはその不動産を購入した金額や印紙代、仲介手数料等購入に要した費用
※2 譲渡費用とは今回売却に要した仲介手数料や測量費、解体費等の諸経費(税理士または税務署に要確認)
ここでポイント!!!
相続で引き継いだ不動産でも譲渡所得税がかかります!
その際、全力でその不動産を取得された際の「売買契約書や領収証等の証拠品」を探し出してください!!!
これがないと取得費が、みなし取得費として今回売却された売却価格の5%(1210万円の場合605,000円)となってしまいますΣ(゚д゚lll)ガーン
相続した不動産の場合、取得した際の資料が残っていないケースも多々あるのでその場合はしかたないですが、できる限り探す努力をしてみてください!
見つかれば譲渡所得税が安くなるケースも!
これ以外にも相続の場合の譲渡所得税は特例もあり、当てはまれば税金がかからないケースもあります。
詳しくは税理士または税務署にご確認ください。
ざっと売却にかかる費用と注意点をご紹介しました。
今回の事例の場合、売却によっての手取り額は下記の通りとなりました。
手取額9,624,700円
=売却価格1,210万円-仲介手数料46.53万円-売買契約書印紙代1万円-測量費70万円-解体費-130万円
※譲渡所得税は見込んでいません。
※別途譲渡所得税がかかる場合があります。
色々と費用はかかるものですが、不動産を売却するための必要経費です。
相続で信頼のおける不動産屋にお任せして、測量費や解体費を少しでも安くやってもらえる業者を紹介してもらえばもう少し手取り額が増える可能性もあります。
新富不動産スタジオも相続後の不動産売却のお手伝いを多く手掛けています。
ご満足のいく不動産売却のお手伝いをさせていただきますので、相続した不動産の処分をお考えの方はお気軽に新富不動産スタジオへご相談ください(*^^*)
地元静岡市を中心に、静岡県内全域で不動産の売買・賃貸仲介に加え不動産買取や不動産投資など、不動産を通じて様々な問題解決に向けたコンサルティングを行っています。
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