【OYO LIFE】スマホで賃貸に住めるサービス開始。不動産屋が落とし穴を探ってみた
おはようございます。
突然ですがみなさん、旅行は好きですか?
旅行に行くときのホテルや宿探しって昔は旅行会社の窓口に行ってパンフレットやチラシを見て決めてましたけど、最近はスマホで簡単に写真も見れるし口コミも見れて料金比較まで出来てとっても便利な世の中になりましたよね。
なんで突然こんな話をしたかって?
それはですね!
不動産の賃貸業界でも、スマホでホテルを探すように簡単に賃貸物件に住めちゃうサービスが始まったんです。
今日はこの新たに始まった便利な賃貸サービスについて、落とし穴はないのかを見てみましょう。
不動産業界のアマゾンと言われる「OYO LIFE」
スマホで簡単に賃貸物件を探して、入居手続きから退去手続きまでもすべてスマホで完結。
こんなサービスで日本の賃貸市場に新規参入したのが、インド発のホテル運営会社のOYO(オヨ)。
そのOYOが展開を開始した賃貸サービスがOYO LIFE(オヨライフ)。
OYO LIFEの特徴
「ホテルのように部屋を選ぶだけ」がキャッチフレーズのOYO LIFE。
特徴は以下の通り。
- スマホで賃貸物件探し・入居手続き・退去手続きが完結できる
- 敷金・礼金・仲介手数料ゼロゼロゼロ(初期費用がほぼかからない)
- すべての賃貸物件に家具家電にWiFiがついている
- 水道光熱費込
- 入居前の清掃費のみが初期費用で掛かる
- 3日間のお試し住みができる
うわ~、とっても便利だし初期費用もかからなくて嬉しい!
誰でもこんな風に思っちゃいますよね!
どうしてOYO LIFEはこんなサービスができるの?
一見すると「いうことなし」の素晴らしい賃貸サービスですよね!
なんでOYO LIFEってこんなすごいサービスが提供できるの?
と思いますよね?
OYO LIFEの賃貸物件はOYOが貸主のサブリース物件
この秘密は、OYOが本当のオーナー(物件所有者)から一括借上をして、入居者さんに転貸する「サブリース」物件なんです。
不動産業者は通常、借主さんから仲介手数料という報酬をもらう目的で、賃貸物件の仲介をしています。
物件のオーナー(貸主さん)は、仲介手数料狙いの不動産業者に物件の仲介を依頼して自らが入居者募集能力が無くても自分の賃貸物件への入居を担保してきました。
でもOYOはサブリースをすることで自ら貸主になって、そして自ら入居者募集の仕組みを作ったので、不動産業者に頼らずとも自社の物件へ仲介手数料無しで入居者さんを入れることができるようになったのです。
サブリースは宅建業法の適用範囲外だからこそできるサービス
サブリースで自ら貸主になることで、宅地建物取引業法で定められている契約前の「重要事項説明」をしなくて良いのです。
つまりサブリースは、そして自ら貸主は宅地建物取引業法の制限を受けないんですね。
だから、契約手続きにもOYOの事務所にいって、対面で重要事項説明をせずにスマホで入居手続きが完結できるという便利な仕組みが成り立つんですね。
賃貸の契約をするのにわざわざ時間をつくって長たらしい重要事項説明を受けるのってメンドクサイ・・・
こんな方にとっては願ってもない便利なサービスですよね?
OYO LIFEに落とし穴はないの?
何から何まで便利で言うことなしのサービスのように見えるOYO LIFE。
でも便利なサービスの裏に「何か落とし穴があるんじゃないかな」と僕は勝手に思い、注意点を考えてみました。
入居者さん目線の注意点
- 借主さん側の注意点家賃が一般大家さんの物件より高い
- 家具家電付なので自分の好きな家具家電を置けない
- 外国人需要や人間的に問題がある入居者が増える可能性があり、治安面の不安が出るかもしれない
- 「困ったときの不動産屋」を頼りにできない
1.についての考察
あるサイトで東京都渋谷区笹塚の同一マンション内で、OYO LIFEの物件と一般大家さんの物件の賃料比較が載っていました。
■一般大家さん物件
家賃73,000円
共益費5,000円
合計78,000円
■OYO LIFE物件
家賃104,000円
共益費10,000円
合計114,000円
その差は36,000円!
おそらく物件の内装等サブリースであるからこそ、手を入れているんだとは思いますが、この差はどう思いますかね?
2.についての考察
家具家電付きで身軽に引っ越したい方にとっては便利ですよね?
でも中には自分で買った思い入れのある家具や家電、照明器具なんかをもって引っ越したい方もいるかもしれません。
そういった方にとっては、家具家電付が反対に不便になってしまう可能性もあるかも?
3.についての考察
OYO LIFEが従来の賃貸物件への入居に比べて、入居のしやすさが高まると考えられます。
そのため、もしかしたら賃貸物件を借りづらい外国人の方や訳ありの方が入居してしまう可能性も考えられます。
住んでみたら同物件に変な人が住んでいて「怖い」「不安」といった思いをされる可能性もあるかもですね・・・
4.についての考察
賃貸物件に住んでいるときに、例えば隣人トラブルなどのちょっとした事件が起こった時に「困ったな、不動産屋に連絡しよう」という経験をされたことのあるもいらっしゃるのでは。
OYO LIFEはそういう「人」を介在しないサービスなので、通常の賃貸物件であれば「人間関係」で解決できた問題への対処方法が確立されていない可能性が高いかなと感じます。
不動産屋って困ったときに助けてくれることもあったりするんですよ。
大家さん目線の注意点
次に大家さん目線で考える注意点をいくつか。
- サブリースのため入居率低下等を理由に借上家賃改定に注意
- サブリース契約期間中の原状回復やバリューアップ工事費用は大家さん持ち?
- サブリース事業者が入居者決定権を持っているので、ふたを開けたら変な入居者がいたという可能性も
これはサブリースによくある問題点ですね。
おそらくOYOのサブリース契約も、通常のサブリース契約にあるような問題は起こるんじゃないかと考えられます。
OYO LIFEに合っている人
以上の問題点から見えるように、新たなサービスのOYO LIFEにも欠点があるように見受けられます。
おそらくOYO LIFEのサービスを便利で快適に利用できる方は以下のような方々じゃないでしょうか。
- 色々な場所、色々な物件に住んでみたい方
- 更新がある地域で更新料を払うなら別の物件に住み替えるという方
- 短期間だけその物件に住みたい方
- 何かトラブルがあっても自分で解決できるというメンタルの強い方
こういった方々なら、OYO LIFEの物件で想定されるデメリットを気にせず、サービスをすべて享受できるのではないかなと思います。
最後に
今回は日本の賃貸市場に新風を巻き起こす可能性のあるOYO LIFEについて、考えられるそのメリットとデメリットを書いてみました。
最近は単身者世帯も増えていますし、ライフスタイルも人それぞれ多様化しているので、現役不動産屋の目から見ても、このようなサービスはある一定の方々にとってはとても有益なツールになると思います。
ただ、新たなビジネススキームである点、そして人を介在しないITサービスであるという点は、まだ誰も考えたことのないような問題点を含んでいる可能性も否定はできないかなとも思います。
もしこのようなサービスを利用されるときには、便利さといったメリットばかりに目を向けないで、様々な問題点を俯瞰して見てから自分のライフスタイルに合っているかどうか、問題が発生したときに自分自身の手で解決できる範囲のものかどうかを考えてから利用するに越したことはありませんよね。
それと賃貸の家賃はあくまで他人の財産になるものであって自分の資産にはなりませんので、便利さに対する対価として家賃を払う価値があるかどうかも吟味したうえで利用するようにしましょう。
・・・こんなことを言いながら、OYO LIFEのターゲットにピッタリな友人がいるので、今度使ってもらって感想聞かせてもらおうっと(笑)
OYO LIFEの物件借りてみてよ(笑)
おしまい。