不動産買取のデメリットを回避する具体的な対策と注意点

不動産買取は「早く確実に売却したい」「面倒な手続きを省きたい」という方にとって魅力的な選択肢です。
しかし、その便利さの陰には知っておくべき重要なデメリットが潜んでいます。
市場価格より安くなりがちな買取価格、悪質な業者による詐欺的な手法、契約後のトラブルなど、正しい知識がなければ大切な資産を損なうリスクがあるのです。
本記事では、不動産のプロとして数多くの取引に携わってきた経験から、不動産買取の本当のデメリットと、それを回避するための具体的な対策を徹底解説します。
適切な知識を身につけて、後悔のない不動産売却を実現しましょう。
不動産買取とは?仲介との違いを徹底解説
不動産を手放す際に選択肢となる「不動産買取」。
従来の仲介売却とは異なる特徴を持つこの方法は、状況によって大きなメリットをもたらす一方で、知っておくべきデメリットも存在します。
不動産買取の仕組みを理解し、自分のケースに本当に適しているかを見極めることが重要です。
不動産買取の基本的な仕組み
不動産買取とは、不動産会社が直接物件を買い取るサービスです。
売主である所有者から不動産会社が直接物件を購入し、その後リフォームや建て替え、解体し土地売りなどを行って再販するというビジネスモデルです。
通常の不動産売却では、所有者が不動産会社に仲介を依頼し、買主が見つかるまで待つ必要がありますが、買取の場合は不動産会社自身が買主となります。
買取の最大の特徴は、売却までのスピードの速さです。
一般的な仲介売却では買い手が見つかるまで数ヶ月から場合によっては1年以上かかることもありますが、買取であれば最短で1か月程度で現金化が可能です。
また、物件の状態を問わず買い取ってもらえる点も大きな特徴です。
築年数が古い、設備が古い、間取りが特殊といった理由で通常の売却では買い手がつきにくい物件でも、買取であれば売却できる可能性が高まります。
さらに、内覧対応や価格交渉などの煩わしい手続きが不要で、現状のままの状態で売却できるため、リフォームや修繕の必要がないという利点もあります。
従来の仲介売却との主な違い
仲介売却と買取の最も大きな違いは、「誰が買主になるか」という点です。
仲介売却の場合、不動産会社はあくまで売主と買主をつなぐ仲介者の立場であり、最終的な買主は一般の個人や法人といったエンドユーザーです。
一方、買取の場合は不動産会社自身が買主となります。
この違いから生じる特徴として、まず売却価格の差があります。
仲介売却では市場価格での取引が基本となりますが、買取の場合は一般的に市場価格より低い価格での取引となります。
これは不動産会社が再販時のリスクや経費、利益を考慮するためです。
次に、売却にかかる期間の違いがあります。
仲介売却では買主が現れるまでの期間が不確定であるのに対し、買取では契約から決済までの期間が明確で短期間です。
また、手続きの煩雑さにも違いがあります。
仲介売却では内覧対応や価格交渉、各種書類の準備など多くの手続きが必要ですが、買取では最小限の手続きで売却が完了します。
費用面では、仲介売却の場合は仲介手数料が発生しますが、買取の場合はこの手数料がかかりません。
ただし、買取価格が低く設定されるため、トータルでは仲介売却の方が手取り額が多くなることが一般的です。
不動産買取が向いているケース
不動産買取は万能な選択肢ではなく、特定の状況下で特に有効な手段です。
例えば、転勤や住み替えなどで急いで物件を売却する必要がある場合、買取は最適な選択肢となります。
売却までのスピードを最優先する方にとって、買取のメリットは非常に大きいといえるでしょう。
また、相続した古い実家や遠方の物件を処分したい場合も買取が向いています。
特に管理が困難な遠方の物件や、空き家のまま長期間放置されている物件は、買取によって速やかに処分することで管理の手間やコストから解放されます。
さらに、物件の状態が良くない場合も買取が適しています。
築年数が古い、設備が古い、立地条件が悪いなどの理由で一般の買主が見つかりにくい物件でも、買取であれば売却できる可能性が高いです。
リフォームやクリーニングにコストをかけたくない、あるいはそれらの手間を省きたい場合も買取の利点が活きます。
買取では現状のままの状態で売却できるため、修繕費用や手間を省くことができるのです。
また、近隣トラブルや法的問題を抱えた物件など、特殊な事情がある物件も買取の方が売却しやすい傾向があります。
ただし、時間的余裕があり、できるだけ高額での売却を希望する場合は、仲介売却の方が適している可能性が高いことも覚えておくべきでしょう。
不動産買取は万能ではなく、個々の状況に応じて最適な選択をすることが重要です。
不動産買取の5つのデメリット
不動産買取はスピードや手間の少なさなど多くのメリットがある一方で、知っておくべき重要なデメリットも存在します。
買取を検討する際には、以下のデメリットをしっかりと理解した上で判断することが大切です。
実際に多くの方が買取のメリットだけを見て判断し、後悔するケースも少なくありません。
市場価格より安くなりがちな買取価格
不動産買取の最大のデメリットは、通常の仲介売却と比較して売却価格が低くなる傾向にあることです。
一般的に買取価格は市場価格(仲介売却で期待できる価格)の60〜70%程度といわれています。
中には60%以下になるケースもあり、物件の状態や立地条件によっては更に低くなることもあります。
この価格差が生じる理由は、買取業者が物件を購入した後にリフォームや修繕を行い、再販売するビジネスモデルにあります。
業者は再販時の利益や、売れ残るリスク、保有コスト(固定資産税や管理費など)、リフォーム費用を見込んで買取価格を設定するため、必然的に市場価格より低くなるのです。
例えば、市場価格が2,000万円の物件の場合、買取価格は1,200万円〜1,400万円程度になることが一般的です。
この差額は決して小さくなく、800万円もの差が生じることになります。
特に高額な物件ほど、その差額は絶対額として大きくなる傾向にあります。
また、買取業者によって査定基準や再販戦略が異なるため、同じ物件でも業者によって買取価格に大きな開きが出ることがあります。
中には相場より極端に安い価格を提示する悪質な業者も存在するため注意が必要です。
業者選びで失敗するリスク
不動産買取において、信頼できる業者を選ぶことは非常に重要です。
しかし、近年の不動産買取市場の拡大に伴い、様々な業者が参入しており、中には悪質な業者も存在します。
適切な業者選びに失敗すると、予想以上に低い買取価格での取引を迫られたり、契約後にトラブルが発生したりするリスクがあります。
悪質な業者の典型的な手口としては、最初は高い査定額を提示しておきながら、契約直前になって「物件に問題が見つかった」などの理由をつけて大幅に価格を引き下げるという「エサ査定」と呼ばれる方法があります。
焦って売却を急いでいる所有者が、このような不当な価格引き下げに応じてしまうケースも少なくありません。
また、一部の買取業者は、物件の欠陥を過度に指摘し、それを理由に買取価格を不当に引き下げようとします。
素人には判断が難しい建物の構造的な問題や土地の法的制限などを持ち出して、所有者を不安にさせる手法です。
さらに、買取契約を急がせる業者も要注意です。
「今なら特別に高く買い取る」「この条件は今日限り」などと言って、十分な検討時間を与えず、性急に契約を迫るケースがあります。
冷静な判断ができなくなるよう心理的なプレッシャーをかけてくる業者は避けるべきでしょう。
良い業者を見分けるためには、複数の業者から査定を受け、それぞれの対応や査定額を比較することが重要です。
また、インターネットでの口コミや評判をチェックし、実績や信頼性を確認することも欠かせません。
契約後のトラブル事例
不動産買取では契約後にもトラブルが発生するケースがあります。
実際に起きた主なトラブル事例を知ることで、事前に対策を講じることができるでしょう。
最も多いトラブルの一つが、契約後の追加費用の請求です。
契約時には言及されなかった「測量費用」「書類作成費用」「キャンセル料」などの名目で、突然費用を請求されるケースがあります。
特に契約書に小さな文字で記載されていたり、口頭での説明が曖昧だったりする場合に発生しやすいトラブルです。
また、決済日の遅延も頻繁に発生するトラブルです。
「資金調達に時間がかかる」などの理由で、当初予定していた決済日が延期されるケースがあります。
特に個人や小規模な買取業者の場合、資金力の問題から決済が遅れることがあります。
売主が次の住居の購入や引っ越しのスケジュールを決済日に合わせている場合、大きな支障が出ることになります。
さらに、物件の引き渡し後に「聞いていない不具合がある」などと言われ、損害賠償を請求されるケースもあります。
買取時の現況有姿(現状のまま)での売買を明確に契約書に記載していなかった場合に起こりやすいトラブルです。
これらのトラブルを防ぐためには、契約書の内容を十分に確認し、曖昧な部分は事前に明確にしておくことが重要です。
また、業者の資金力や信頼性をあらかじめ調査し、決済能力に問題がないか確認しておくことも有効です。
必要に応じて不動産の専門家や弁護士などに契約書の確認を依頼することも検討すべきでしょう。
買取契約は一般的な不動産取引と比べて手続きが簡素化されている分、トラブルも起きやすい傾向にあります。
「早く済ませたい」という気持ちから契約内容の確認を怠ると、後々大きな問題に発展する可能性があるため注意が必要です。
不動産買取のデメリットを回避する方法
不動産買取には確かにデメリットが存在しますが、適切な準備と知識を持って臨めば、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。
ここでは、買取のデメリットを回避し、できるだけ有利な条件で売却するための具体的な方法を解説します。
複数業者の査定額を比較する重要性
不動産買取において最も重要な対策の一つが、複数の業者から査定を受けることです。
一社だけの査定では、その価格が適正かどうか判断する基準がなく、結果として不当に安い金額で売却してしまう可能性があります。
同じ物件でも、買取業者によって査定額に10%以上の差が出ることも珍しくありません。
これは、各業者の査定基準や再販戦略、得意とする物件タイプが異なるためです。
例えば、マンション専門の買取業者と戸建て専門の買取業者では、同じ物件に対する評価が大きく異なることがあります。
また、一部の地域に強い業者は、その地域の物件に対して他社より高い査定額を提示することがあります。
これは、その地域での販売ルートや顧客基盤を持っているため、再販時のリスクを低く見積もれるからです。
複数の業者に査定を依頼する際は、できるだけ異なる特性を持つ業者を選ぶことがポイントです。
大手と中小、地域密着型と全国展開型など、様々なタイプの業者から査定を受けることで、より幅広い選択肢を得ることができます。
一般的には3社~5社程度の査定を比較することが推奨されています。
ただし、単に査定額の高さだけで業者を選ぶのではなく、査定の根拠や対応の丁寧さ、契約条件なども総合的に判断することが重要です。
最近では、一度の申し込みで複数の買取業者から査定を受けられる「一括査定サービス」も充実しています。
これらのサービスを利用すれば、簡単に複数の査定額を比較することができるでしょう。
信頼できる買取業者の見分け方
不動産買取において良い結果を得るためには、信頼できる業者を見分けることが不可欠です。
以下のポイントに注目して業者を選ぶことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
まず、実績と経験を確認しましょう。
創業年数や取引実績、特に買取実績が豊富な業者は信頼性が高い傾向にあります。
Webサイトや会社案内などで過去の実績を公開している業者は、自信を持って業務に取り組んでいる証拠です。
次に、適切な説明ができるかどうかをチェックします。
査定額の根拠や買取後の流れ、手数料や諸経費について、明確で分かりやすい説明ができる業者は信頼できます。
逆に、質問に対して曖昧な回答しかできない、説明を急ぐような業者は要注意です。
第三者評価も重要な判断材料です。
インターネット上の口コミや評判、不動産関連の情報サイトでの評価などを調べることで、実際に取引した人の声を知ることができます。
ただし、一部の口コミサイトには作為的な投稿もあるため、複数の情報源で確認することをお勧めします。
また、宅地建物取引業免許の有無や、その他の認証・加盟団体なども確認しましょう。
免許番号が公開されていない、あるいは確認できない業者は論外です。
さらに、不動産流通機構(レインズ)や不動産公正取引協議会連合会などの業界団体に加盟している業者は、一定の基準を満たしていると考えられます。
担当者の対応も見逃せないポイントです。
丁寧な対応、迅速な連絡、約束を守るといった基本的なビジネスマナーができているかどうかは、その会社の姿勢を反映しています。
初回の問い合わせや査定時の対応で違和感を覚えたら、別の業者を検討した方が無難でしょう。
契約前に確認すべき重要事項
不動産買取契約を結ぶ前に、いくつかの重要事項を確認することで、契約後のトラブルを防ぐことができます。
以下のポイントは必ずチェックしておきましょう。
最も重要なのは、契約内容の詳細確認です。
特に買取価格、決済・引き渡し日、手付金の金額と解約条件、契約不適合責任(瑕疵担保責任)の範囲、その他の特約事項などは、曖昧さを残さず明確にしておく必要があります。
契約書は必ず持ち帰って内容を精査し、不明点は専門家に相談することをお勧めします。
次に、追加費用の有無を確認します。
仲介手数料は不要なことが多いですが、その他に測量費用、書類作成費用、立会費用などが発生する場合があります。
これらの費用が買取価格に含まれているのか、別途請求されるのかを事前に確認しておきましょう。
決済条件も重要なポイントです。
決済日がいつなのか、決済方法はどうなっているのか、遅延した場合のペナルティはあるのかなど、お金に関わる部分は特に注意が必要です。
業者の資金力に不安がある場合は、手付金の金額を増やしてもらうなどの対策も検討すべきでしょう。
引き渡し条件も確認が必要です。
家財道具の撤去は誰が行うのか、いつまでに完了させる必要があるのか、原状回復義務はあるのかなど、引き渡しに関する条件を明確にしておきましょう。
これらが不明確だと、後になって予想外の負担が発生する可能性があります。
最後に、契約解除の条件も確認しておくことをお勧めします。
契約後に事情が変わった場合のために、どのような条件なら契約解除ができるのか、その場合のペナルティはどうなるのかを把握しておくことは重要です。
契約書の内容に不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
専門家への相談料は数万円程度ですが、後々のトラブルを防ぐことができれば、それ以上の価値があると言えるでしょう。
不動産買取と仲介、どちらを選ぶべき?
不動産を売却する際、買取と仲介のどちらを選ぶべきか悩む方は多いでしょう。
両者にはそれぞれメリット・デメリットがあり、自分の状況や優先事項に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
ここでは、主な判断基準ごとに買取と仲介を比較し、選択の指針を提供します。
売却までの期間を重視する場合
売却までのスピードを最優先するなら、不動産買取が圧倒的に有利です。
一般的な仲介売却では、物件の状態や立地条件、価格設定などによって売却期間が大きく変動し、平均で3ヶ月〜6ヶ月程度かかるとされています。
条件が悪い物件では1年以上売れ残ることも珍しくありません。
一方、不動産買取では査定から契約、決済まで最短1か月程度で完了することも可能です。
この時間的な差は、特に以下のような状況で大きな意味を持ちます。
転勤や移住が決まり、期限までに確実に売却を完了させる必要がある場合、買取の確実性とスピードは大きな利点となります。
仲介では買い手が見つからないリスクが常にありますが、買取ならそのリスクはありません。
相続税の納付期限が迫っている場合も、買取は有効な選択肢です。
相続税は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に納付する必要があり、その資金を不動産売却で賄う予定なら、確実に期限内に現金化できる買取は心強い選択肢となります。
また、住宅ローンの返済が困難になり、競売にかけられる前に自主的に売却したい場合も、スピードが命となります。
仲介で売却活動をしている間にも延滞は続き、状況が悪化する可能性があります。買取なら素早く売却して借金問題の解決に集中できます。
ただし、スピードを優先するあまり、極端に安い買取価格を受け入れてしまうのは避けるべきです。
少なくとも複数の買取業者に査定を依頼し、比較検討することをお勧めします。
売却価格を重視する場合
売却価格を最大化したいなら、基本的には仲介売却が有利です。
仲介売却では市場価格(実勢価格)での取引が基本となるため、買取よりも高い価格で売却できる可能性が高いです。
一般的に、買取価格は市場価格の60〜70%程度とされています。
例えば、市場価格が3,000万円の物件の場合、買取価格は1,800万円〜2,100万円程度になることが多いです。
この差額は決して小さくなく、数百万円の違いが生じることになります。
ただし、仲介売却でも希望通りの価格で必ず売れるわけではありません。
最初は高い価格で売り出しても、買い手が見つからず、徐々に値下げしていくケースも少なくありません。
結果的に当初想定していた価格よりも大幅に安く売却せざるを得ないこともあります。
また、仲介売却では仲介手数料が発生します。
これは売却価格の3.3%+6.6万円(税込)が上限と法律で定められていますが、数十万円から場合によっては100万円を超える費用となります。
一方、買取では通常この手数料はかかりません。
さらに、仲介売却では物件をきれいに保つための清掃費や、場合によってはリフォーム費用なども必要になります。
買主への内覧対応のために時間や労力も必要です。
これらのコストや手間も含めて総合的に判断する必要があるでしょう。
時間的余裕があり、少しでも高く売りたい場合は、まず仲介で一定期間売り出してみて、もし売れなければ買取に切り替えるという二段構えの戦略も有効です。
ただし、この場合は全体の売却期間が長くなることを覚悟しておく必要があります。
物件の状態別の選び方
物件の状態によっても、買取と仲介のどちらが有利かは変わってきます。
物件の特性に合わせた選択が重要です。
新築や築浅、人気エリアの物件など、市場での需要が高い物件は仲介売却に向いています。
こうした物件は買い手が見つかりやすく、希望価格に近い金額で売却できる可能性が高いです。
買取にすると、本来得られるはずの利益を逃してしまう可能性があります。
一方、築年数が古い(20年以上)物件や、設備が古い、間取りが特殊、立地条件が悪いなどの理由で市場での需要が低い物件は、買取の方が向いていることが多いです。
こうした物件は仲介で売り出しても買い手がつきにくく、長期間売れ残るリスクがあります。
また、再建築不可物件や接道義務を満たしていない物件、土地の形状が特殊な物件など、法的な制限や物理的な問題を抱えている物件も、買取の方が売却しやすい傾向にあります。
買取業者は、こうした問題のある物件でも専門知識を活かして再生・活用する方法を持っていることが多いためです。
空き家や相続物件など、現状維持のためのコストや手間がかかる物件も買取を検討すべきでしょう。
特に遠方にある実家を相続した場合、定期的な管理や固定資産税の支払いなどの負担から早く解放されたいと考えるなら、買取のスピードは大きなメリットとなります。
また、近隣トラブルがある物件や、事故物件(心理的瑕疵がある物件)などの特殊な事情がある物件も、買取の方が向いているケースが多いです。
こうした事情は仲介売却の際に告知義務があり、買い手が見つかりにくくなる要因となりますが、買取業者は物件の履歴に関わらず購入してくれることが多いです。
物件の状態や特性を客観的に評価し、市場での需要の高さを考慮した上で、買取と仲介のどちらが自分の物件に適しているかを判断することが重要です。
専門家のアドバイスを参考にするのも良い方法でしょう。
専門家に相談する場合は、買取専門の不動産会社だけでなく、仲介も行っている総合的な不動産会社に相談するのがおすすめです。
両方のサービスを提供している会社なら、より中立的な立場からアドバイスを受けられる可能性が高いでしょう。
まとめ
不動産買取は、スピードや手続きの簡便さなど多くのメリットがある一方で、知っておくべき重要なデメリットも存在します。
本記事では不動産買取のデメリットを中心に解説してきましたが、最後にポイントをまとめておきましょう。
不動産買取の主なデメリットは、市場価格より安くなりがちな買取価格、業者選びで失敗するリスク、そして契約後のトラブル発生の可能性です。
買取価格は一般的に市場価格の60〜70%程度とされており、この価格差は決して小さくありません。
また、悪質な業者による「エサ査定」や不当な価格引き下げなどのリスクも存在します。
契約後も、追加費用の請求や決済日の遅延などのトラブルが発生する可能性があります。
これらのデメリットを回避するための対策としては、まず複数の業者から査定を受け、査定額を比較することが重要です。
同じ物件でも業者によって査定額に大きな差が出ることも珍しくないため、最低でも3社、できれば5社以上の査定を比較することをお勧めします。
また、信頼できる業者を見分けるためには、実績と経験、適切な説明能力、第三者評価、宅地建物取引業免許の有無などをチェックすることが大切です。
担当者の対応の丁寧さも、その会社の姿勢を反映している重要な判断材料となります。
契約前には、契約内容の詳細、追加費用の有無、決済条件、引き渡し条件、クーリングオフや契約解除の条件などを必ず確認しておきましょう。
不安がある場合は、専門家に相談することも検討すべきです。
不動産買取と仲介のどちらを選ぶかは、自分の状況や優先事項によって異なります。
売却までのスピードを最優先するなら買取が圧倒的に有利ですが、売却価格を最大化したいなら基本的には仲介が有利です。
また、物件の状態によっても適した方法は変わってきます。
新築や築浅、人気エリアの物件は仲介に向いていますが、築年数が古い物件や特殊な事情がある物件は買取の方が向いていることが多いです。
最終的には、自分の状況(売却の緊急性、希望価格、物件の状態など)を客観的に評価し、メリットとデメリットを比較した上で判断することが重要です。
場合によっては、まず仲介で一定期間売り出してみて、もし売れなければ買取に切り替えるという二段構えの戦略も有効でしょう。
不動産売却は人生の中でも大きな取引の一つです。
十分な情報収集と比較検討を行い、後悔のない選択をすることが大切です。
本記事が皆様の不動産売却の参考になれば幸いです。
Q&A(よくある質問)
Q1: 不動産買取は仲介売却と比べてどれくらい安くなりますか?
A: 一般的に不動産買取の価格は、市場価格(仲介売却で期待できる価格)の60〜70%程度といわれています。
例えば、市場価格が2,000万円の物件であれば、買取価格は1,200万円〜1,400万円程度になることが多いです。
ただし、物件の状態や立地条件、買取業者の方針によって差があり、中には60%以下になるケースもあります。
特に、築年数が古い、立地条件が悪い、再建築不可などの特殊な事情がある物件は、買取価格が低くなる傾向にあります。
一方で、人気エリアの物件や再販しやすい間取りの物件は、比較的高い買取価格が期待できることもあります。
正確な金額を知るためには、複数の業者から査定を受けて比較することをお勧めします。
Q2: 不動産買取で信頼できる業者を見分けるポイントは何ですか?
A: 信頼できる不動産買取業者を見分けるポイントはいくつかあります。
まず、実績と経験が豊富かどうかをチェックしましょう。
創業年数や取引実績、特に買取実績が多い業者は信頼性が高い傾向にあります。
次に、査定額の根拠や買取後の流れ、手数料や諸経費について、明確で分かりやすい説明ができるかどうかも重要です。
また、インターネット上の口コミや評判、不動産関連の情報サイトでの評価なども参考になります。
宅地建物取引業免許の有無や、業界団体への加盟状況も確認すべきポイントです。
さらに、担当者の対応の丁寧さ、連絡の迅速さ、約束を守るといった基本的なビジネスマナーができているかどうかも、その会社の姿勢を反映しています。
これらのポイントを総合的に判断して、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
Q3: 不動産買取と仲介売却を併用することは可能ですか?
A: はい、不動産買取と仲介売却を併用する「二段構え戦略」は可能で、実際によく行われている方法です。
具体的には、まず仲介で一定期間(例えば3ヶ月程度)売り出してみて、その間に希望価格に近い買い手が見つからなければ、買取に切り替えるという方法です。
この戦略のメリットは、まずは高値での売却にチャレンジし、それが難しければ確実に売却できる買取にシフトできる点です。
ただし、この方法を選ぶ場合は、全体の売却期間が長くなることを覚悟しておく必要があります。
また、最初から買取と仲介の両方を並行して進めることも可能ですが、その場合は仲介契約の種類(専任媒介契約か一般媒介契約か)に注意が必要です。
専任媒介契約を結んでいる場合、他の不動産会社を通じての売却はできませんが、買主が直接現れた場合(買取業者との直接取引を含む)は売却可能です。
いずれにしても、不動産会社と相談しながら最適な方法を選ぶことをお勧めします。

地元静岡市を中心に、静岡県内全域で不動産の売買・賃貸仲介に加え不動産買取や不動産投資など、不動産を通じて様々な問題解決に向けたコンサルティングを行っています。
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